最も不遇な発達障害の40代・50代男性。

現代日本社会で、最も冷酷な扱いを受けているのは、どの世代でしょうか。ズバリ「40代・50代男性」なのです。
その理由は明白です。まず、「団塊ジュニア」と呼ばれる世代であり、ベビーブームで人数が多いのです。そして、彼らが就職する頃には「バブル崩壊」という最悪な時期と重なり、就職難に喘ぎました。
健常者なら問題ありませんが、コミュニケーション能力が低くて正規雇用が困難な「大人の発達障害者」は、非正規雇用に就かざるを得なくなり、キャリア構築ができず挫折します。何とか就職できたとしても、無我夢中で頑張りますが、障害特性によって失敗して全く報われずに、パワハラ等を受けて結果として疲弊してしまい、離職という悲劇に至ります。当然ながら、一度離職すると再就職・再挑戦が困難になりますし、年齢を重ねると引きこもりが長期化して問題をより一層深刻にします。精神障害者・発達障害者は、企業経営者にとっては「迷惑な存在」という扱いでしかなく、障害者枠でも就労は困難を極めています。身体障害者や知的障害者が、十分な支援を受けて就労につなげているのとは対照的です。
悲しいことに、昭和時代は「大人の発達障害」そのものが認知されておらず、成績が優秀でも問題に気付かない上に、心の問題でなく脳の問題なのにも拘らず、健常者と同じ扱いで教育を行うことで二次障害につながります。その結果として、うつ、AC(アダルトチルドレン)、C-PTSD(複雑性心的外傷後ストレス障害)を併発して、人生再生が困難になってしまいます。
それに、精神障害者や発達障害者は所得が低い上に負担する税金等は高額で、行政は引きこもり問題に関しては30代までしか対象にしていません。つまり、本質的な問題を抱えている40代以降は、置き去りにされているのが実情です。このように、本来であれば最も支援・救済を必要としているにも拘らず、現実は真逆で全世代中で最も理解されない世代とされているのです。不遇な社会人デビューとなったことに加え、国・社会・企業から責任を押し付けられて経済面においても最も冷遇されており、人生を前述の形で棒に振らされ理不尽な思いで生きていかざるをえなくなっています。
とにかく、大急ぎで彼らに対する待遇を見直し、再起できる体制にすることが喫緊の課題であります。もし、この問題に真剣に取り組まなければ、彼らが還暦を迎える時に社会保障に莫大なコストがかかることになるため、社会全体を過去にないほど押し下げる圧力になり、日本は今までにないほどの悲惨な事態になる事は明らかです。

これは、「思っている」とか「感じている」とかいう生易しく甘ったるい事ではありません。断言しても言い過ぎない、むしろ言い足りない程の事なのです。これこそが「事実」であり「現実」であり「真実」「真理」なのです。良いとか悪いとかの問題ではなく、これ以外に語りようが無く、疑う余地の全く無い「黄金則」に他ならないのです。