心の負債、それは精神的ダメージの大きさと言って間違いではありません。つまり、心の傷はダメージを受けた度合いや期間によって大きく変わります。それゆえに、人生の再建方法も人によって大きく異なるのは当然であります。
過去に、いじめ、パワハラ、セクハラ、モラハラ等を受けて精神的にダメージを受ける期間が短く軽度であるなら、精神の立て直しは難しくないでしょう。しかし、これが長期間にわたったり四六時中受けるような状態であるならば、精神の立て直しは極めて難しくなります。
よって、前者のようなPTSD(心的外傷後ストレス障害)と後者のようなC-PTSD(複雑性心的外傷後ストレス障害)は、同じ心的外傷後ストレス障害であっても、内容が大きく異なるのは言うまでもありません。
もし、「心の負債なんて同じでしょう」というなら聞くが、負債100万円の企業と負債100億円の企業の再建方法は同じでしょうか。そんなことは、ありませんよね。前者なら回復は早いが、後者だと並のやり方では回復が全く進みません。不思議でも特別な事でもなく、至極当然の話であります。負債を抱えている企業だって、再建の手段は負債額や負債の要因によって、それぞれ異なるのであります。
これを踏まえて考えると、心の負債とて同じことが言えます。軽度の心の負債なら、ある程度のメンタルヘルスケアで回復できると思うが、重度の心の負債だと、手厚いメンタルヘルスケアを行わないと回復は困難ないし不可能です。
よく「ゼロからのスタート」などと放言する者が多いが、相手の気持ちを全然分かっていないと断じるしかありません。心の負債は、無かったことにはできません。それゆえに、その負債の大きさ分のマイナスからのスタートになる事を認識・自覚するべきであります。それを全て清算して、はじめてゼロの位置につけるわけであります。
ここまで説明しても、なおも違うと言う人は「1日働いて10000円と、1年働いて10000円は同じ」という思考をしています。これを聞くと、該当者たちは「そんなことはない」と反発するだろうが、彼らが反論する事は筋が通らないし絶対に許されません。
これは、「思っている」とか「感じている」とかいう生易しく甘ったるい事ではありません。断言しても言い過ぎない、むしろ言い足りない程の事なのです。これこそが「事実」であり「現実」であり「真実」「真理」なのです。良いとか悪いとかの問題ではなく、これ以外に語りようが無く、疑う余地の全く無い「黄金則」に他ならないのです。